北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02

翌朝、アスプルンドの夏の別荘にて。宿泊したゲストハウスから外に出ると、空は気持ちよく晴れ渡っていました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20363729.jpg


キッチンにて朝食をいただきました。セルフで各自好きなようにオープンサンドをつくります。チーズ スライサーが使いやすく、見た目もかわいくて気に入りました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20380697.jpg


これは日本の文字でしょ?何という意味なの?ときかれたのはヨーグルトのパッケージ。こんなところに日本の漢字が使われているのには驚きです。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20392626.jpg


朝食をすませると、建物を隅々まで見学し、写真を撮ったり、宿泊したゲストハウスルームの実測をしたりして過ごしました。

リビングルームには非常に特徴的で美しい形をした暖炉がありますが、暖炉にしてはとても大きい。これって火を焚いていない時には中に入れるのでは?と思い、椅子を持ち込んで中に座ってみるとやはり!非常に居心地のよいスペースです。小さな茶室にいるような、落ち着きがあります。こんなスペースをリビングに設けることができれば、などと発想を膨らませました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20481587.jpg


リビングの窓辺にはテーブルとソファーチェアのセット。ソファーチェアのリラックス感にあうよう、テーブルの高さは60cmに抑えられています。ソファーチェアに座ってみると、背もたれが高く肩まで包み込まれるかたちで、想像以上の心地よさです。この家具もアスプルンドのデザインによるものです。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20491598.jpg


窓から入江を望む眺め。左手に大きな木があり、ちょうど風景に程良く障る感じになって絵画的な遠近感、奥行き感を出しています。きっとアスプルンドが考え抜いた上での樹木配置なのでしょう。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20522707.jpg


キッチンには日常使いのダイニングテーブルがありますが、こちらはそれとは別のメインダイニング。この窓からはも入江の景色を楽しむことができます。テーブルの上のペンダントライトがテーブルの中央からあえてずらされています。こんな柔軟な発想もありなのかと感心しました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20553705.jpg


キッチンは近年リフォームをしたとのこと。日本人は和食、中華、イタリアン、その他ありとあらゆるスタイルの料理にチャレンジするためキッチンに差多くの道具や食材が溢れがちですが、ヨーロッパの人はもっとシンプルなのでしょう。程々の収納量できれいにまとまっています。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20565130.jpg
この家は築80年になりますが、愛され、そしてよく手入れされて今も使われています。長持ちする家とは、世代を越えて愛され続ける魅力をもつ家なのだと改めて感じました。

さて正午になり、シャルロッタさん一家に別れを告げて、再びストックホルムホルム中心部へ車を走らせました。訪れたのは森の葬祭場。アスプルンドとレーベンツという2人の建築家ののデザインによるもので、現在では世界遺産にも登録されています。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_20583211.jpg


広大な森林の中に10万もの墓が並ぶ市民墓地。死者は森へ還る、というスウェーデンの死生観が取り入れられているとのことです。墓地なのにさりげない雰囲気で、人はいつか死ぬ、それは特別なことではないんだ、というようなことを思わせられました。墓地のあり方としてとても自然だと思いました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21011853.jpg


敷地内には5カ所の礼拝堂があります。これはそのうちのひとつの待合室。すっきりとしたモダンデザインでありながら、ベンチや壁・天井取り合い部の曲面形状、その他ちょっとしたディテールに一手間かけたこだわりがあり、それを目にした人々の気持ちにやさしく語りかけるデザインが、そこにありました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21024448.jpg
同じ建物内にある礼拝堂の中も見学しました。葬儀の直後だったため撮影は許されませんでしたが、その空間に身をおいた時の感動は表現が容易ではありません。馬蹄形の平面形状に沿って設けられた外周の通路には無数のろうそくが配され、薄暗い中、ゆらめく点の集合が弧を描いています。私のよく知っている、バーバー作曲の弦楽のためのアダージョという曲が、パイプオルガンで奏でられ、響き渡っています。厳かでありながら、穏やかさの漂う空間・時間。

礼拝堂は森の中の3箇所に点在しています。いつか自分も死んだらここに来る、そう思うだけで安らかな気持ちになれるような、ちょっと大げさかもしれませんが、これはそんな存在の建築だと思いました。それは人々にとって素晴らしいことなのではないでしょうか。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21054112.jpg


さて森の葬祭場を後にして、いったん空港でレンタカーを返したあと、電車でストックホルム中央駅へ。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21070404.jpg


次はストックホルム市立図書館を訪れました。これもアスプルンドの設計による建物です。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21081798.jpg


中に入ると、そこは巨大な円筒形の図書室で、周囲はぐるっと360度、3層の書架に囲まれています。これは凄い!人類の叡智の中枢に放り込まれたような感覚とでもいいましょうか、そんな感動がありました。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21111890.jpg

北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21155625.jpg


周囲には比較的小さな図書室が3方に配されています。森の葬祭場の待合室でも見かけた、壁・天井取り合い部の曲面形状が光だまりとなり、やさしく美しい表情をみせています。
北欧の暮らしと住まいを訪ねて-02_c0310571_21173748.jpg


夜9時の閉館とともに本日の建物見学も終了。朝から晩までかけて、3つのアスプルンド作品を巡りました。明日はスウェーデンの伝統的な建物を訪れます。


新井崇文
新井アトリエ一級建築士事務所



by takatakataka03 | 2015-06-19 20:35 | 北欧視察 2015


「光」「風」「緑」といった自然の恵みを活かした住まいを設計しております。ご連絡はこちらまで→info@arai-atelier.com


by takatakataka03

プロフィールを見る
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
その他
メディア取材・掲載
新井アトリエの紹介
荏田町の家(自宅兼事務所)
荏田町の家の四季
朝霞の家
ネストハウス
弦巻の家改修
経堂アパートメント
日々の暮らし
町の縁側
建築・街並み・史跡
自然
北欧視察 2015
岡山・兵庫 建築視察 2016
桜台の家改修
和泉の家

以前の記事

2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2020年 01月
2018年 11月
2018年 08月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月

メモ帳

その他のジャンル