北欧の暮らしと住まいを訪ねて-04

昨日16時45分にストックホルムを出港したシリヤシンフォニー号です。小雨の降る中、スウェーデンの群島を縫うように進んでいましたが、一晩明けて、東の空にはようやく晴れ間が見えてきました。気温は10度前後。甲板では服を着込まないと寒いです。
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朝食はビュッフェにて。各自好きな食べ物をとって好きな席にすわるバイキングスタイルです。
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食後のコーヒーを飲んでいると、窓の外にヘルシンキの群島が見え始めました。
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甲板へ出ると、そこはもうヘルシンキの港の風景です。高さの揃った建築物ぐんの中で一際高くそびえたつ、ヘルシンキ大聖堂が見えてきました。歴史ある街の佇まいに迎え入れられるように船が湾の中へ進んで行き、自然と気分も高揚してきます。シベリウスの交響曲第2番の1楽章が頭の中で繰り返し流れていました。
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港からはトラムに乗って、ヘルシンキ中央駅へ。エリエル・サーリネンの設計による駅舎です。光がじんわりと入ってきて、各部の装飾を美しく照らし出します。
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特に素敵だったのはガラス廻りのディテール。繊細なステンドグラスです。
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プラットフォームに出ると、こちらは一転して現代的なガラス屋根。爽快な空間です。ガラス廻りのディテールの繊細さは、先程見た駅舎とも共通する雰囲気があるように感じました。
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ヘルシンキ13時12分発。インターシティ(特急列車)に乗って、ロシア国境近くの街、イマトラを目指します。窓の外を見ると、マツとシラカバの織りなす森林の風景がひたすら続きます。
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15時43分、イマトラの駅に到着しました。ヘルシンキの東北方向約300kmに位置します。
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ここからアアルト設計の教会へ向かうのですが、折悪しくこの日は夏至祭イブの祝日にあたり、駅の事務室は休業、構内の店舗からタクシー事務所まで全て閉まっていて、人っ子一人いません。市街地は離れているようで、駅前は他に店もなく閑散としています。バスも休業しているようです。ここで降りた乗客たちも皆迎えの車などに乗ってすぐにいなくなってしまいました。目指す教会までは5kmほどあり、本当はここで誰かにきいてバスに乗り込む算段だったのですが、とてもそんな状況ではありません。これはまずいと、だんだん不安になっていたところ、駅のロータリーに1人青年が幼い娘さんを連れて迎えを待っているのを見つけました。藁にもすがる思いで話しかけたところ、ちょうどこのイマトラの街に帰省したところで、おじいちゃんが車で迎えに来るのを待っているところだといいます。私の行き先を話したところ、方向が同じだから載せていくと言ってくれました。旅先での人情ほど有難いものはありません!

無事、ヴォクセンニスカの教会に到着しました。アアルトの設計により1958年に完成した建物です。
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教会にはひと気がありませんでしたが、通りがかった管理人(隣に管理人宿舎があり、住み込んでいるのではないかと思われます)に頼んで、中に入れてもらいました。
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教会内部は地域の集会場を兼ねているため、3分割して使用できるつくりになっており、それに応じて空間形状も3つの膨らみにより分節されています。ちょうどそれが心地よい空間サイズや光の変化をもたらしていて、絶妙な設計です。
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空間をやさしく包み込むかのように内へ傾いたハイサイドライト(高窓)からは、静かな光が降り注ぎます。
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長手方向の壁は、片側は直線、もう片側は曲線的に3つのふくらみをもつ形状となっています。壁や天井がどこも心地よいサイズに分節されており、とても優しい印象です。
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外側から見るとこのような感じです。
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刻々と変化する光のもと、静まりかえった空間の中で2時間あまりを過ごしました。静けさがあり、それでいて温かみも感じる。各部形状の創意工夫、光の扱い、どれも素晴らしく、圧倒される思いがしました。
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さすがに、アアルトの教会建築の最高峰とも言われているだけのことはあります。遠くまで足を運んだ甲斐がありました。

その後、管理人さんにタクシーを呼んでもらってイマトラの駅まで戻り、20時15分発、ヘルシンキ行きの列車に乗りました。森と田園風景の向こうで、ゆっくりと日が暮れていきます。
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22時48分、ヘルシンキ中央駅へ到着。さすがに今日は疲れました。

明日はヘルシンキ市内を探訪の予定です。


新井崇文
新井アトリエ一級建築士事務所



by takatakataka03 | 2015-06-20 03:45 | 北欧視察 2015


「光」「風」「緑」といった自然の恵みを活かした住まいを設計しております。ご連絡はこちらまで→info@arai-atelier.com


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