北欧の暮らしと住まいを訪ねて-10

旅の最終日です。夕方のフライトまでの間、この日も建築探訪をしました。

午前中はミュールマキ教会(ユハ・レイヴィスカ設計)を訪れました。
ヘルシンキ中央駅から近郊列車M線で15分程、Louhela駅を降りると、すぐ目の前にその教会があります。

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中へ入ると低天井の向こうに壮大な空間が見えてきます。
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ずらされた幾重もの面が折り重なり見せる陰影のグラデーション、それと呼応するかのようにアシンメトリーに躍動するパイプオルガンのフォルム・・・思わず見とれてしまう美しさです。
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幾重もの面で構成されるデザインは、テキスタイルとしても展開して空中に浮遊します。
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浮遊する照明器具は、先日見たグッド・シェパード教会(同じくユハ・レイヴィスカ設計)と同じデザイン手法です。グッド・シェパード教会では照明器具3つがセットで配置されていましたが、このミュールマキ教会では4つがセットで配置されています。
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この空間は祭壇に向かって左右方向に空間が長く、その先には大きな開口部があり、光をふんだんに取り込む構成になっています。先日見たグッド・シェパード教会はかなり開口部が抑えられアットホームな包まれる感じの雰囲気の空間だったのに対し、このミュールマキ教会は比較的開口部が大きく抜けのある清々しい雰囲気の空間だと感じました。
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さて、いったんヘルシンキ中央駅まで戻るとちょうどお昼時です。思い返せば今回の旅ではレストランでの外食はまだほとんどありませんでした。というのも、スーパーでバケットを買い移動しながらかじるとか、アパートメントホテルで自炊して食べるとかが多かったからです。そういえば日本から持参したお米5合は全て食べきってしまいました。
そこで、これが今回フィンランドでの最後の食事と思い、市内にある1934年創業という老舗レストラン「ラヴィントラ・シーホース」へ行ってみました。
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美しく趣ある店内です。右手の壁には店名にもなっているタツノオトシゴ(シーホース)が描かれています。
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日本にはあまりないものをと思い、「トナカイのフィレ肉ステーキ」を注文しました。トナカイ肉はわりと牛肉に近い味ですが、牛肉よりもやわらかく、そしてレバーのような臭みが少しあります。そこへクランベリーのジュレを添えて食べると不思議と臭みが消え、独特のコクと香りのある味になります。一度は食べてみる価値のある料理だと思います。
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食事のあとは、アカデミア書店(アルヴァ・アアルト設計)を訪れました。重厚で品格の漂う深緑色の外壁が、歴史ある街並みに溶け込んでいます。
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内部は3層吹き抜けで上部にはトップライトが連なります。トップライトは3重サッシとなっていて、上側の2つのサッシは上へ凸になっているの対し、一番下のサッシは下向きに凸になっています。これが行灯のようにきらめき、室内に光をふりまいています。こういうシンボル的な美しさのある空間は、たとえ時代が変わって用途が変わることすらあろうとも、きっと人々に長く愛され使い続けられるのではないか、そんなことを思いました。
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吹抜けに面する2階の奥には、アアルトデザインの家具や照明器具に彩られた「カフェ・アアルト」があります。ここのカプチーノはコクと甘味があり、実にいい味でした。
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これで今回の旅は終了。

「心地よい空間とは何か?」という問いを胸にかかえながら、スウェーデンとフィンランドの暮らしと住まいを訪ね、多くを見て廻り、自分のフィルターを通して吸収し、様々なデザインの引き出しを持ち帰ることができたように思います。ここで体験した、暮らしの豊かさ、住まいの楽しさ・・・そうしたことを思い描きながら、今後の自分の建築設計をさらに展開していけたらと思っています。



新井崇文
新井アトリエ一級建築士事務所


by takatakataka03 | 2015-07-01 16:04 | 北欧視察 2015


「光」「風」「緑」といった自然の恵みを活かした住まいを設計しております。ご連絡はこちらまで→info@arai-atelier.com


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