2015年 06月 28日 ( 1 )

北欧の暮らしと住まいを訪ねて-07

今日から1泊2日でヘルシンキを離れ、遠出をします。朝4時起きで身支度し、レンタカーを借りて一路北へ。

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目指すはヘルシンキの北方約300kmに位置するユヴァスキュラ近くの街、セイナッツァロです。到着したのはちょうど昼頃。早速、セイナッツァロの役場(アアルト設計)を見学します。

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手前に見える2階建の部分は図書館になっています。2階は天井が高く、縦ルーバー越しに外の松林へ視線が抜ける心地よい空間です。

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図書館部分の奥にはコの字形平面の建物があり、中庭を囲い込んでいます。
中庭は土が盛られて2階レベルとなっており、階段を上がると中庭に出ます。

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建物の反対側には芝の階段があり、こちらから中庭に上がることもできます。

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コの字形平面の2階は町役場部分です。入るとまず、緑ごしの光が美しい空間に迎え入れられます。

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右手を見ると、レンガ壁の入隅にアールトデザインのフロアランプによる光溜まりがよい雰囲気。左手には中庭からの光が回廊越しにやってきてそちらへ誘われます。

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回廊は中庭に面した明るく心地よい場所。床・壁とも異なる素材の組み合わせで小気味良く分節されており、温かみのある雰囲気です。

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外から見た回廊はこのような感じです。

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入り口に戻り、階段を上がると議場に出ます。階段部分は高窓が心地よい雰囲気です。

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さて、そこから湖岸を車で10分程度走らせ、次に訪れたのはアアルト夏の家(アアルト設計、1954年完成)です。

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この家はアアルトが自身の夏の別荘として作ったもの。ムーラッツァロという島にあり、今は橋で渡ることができますが、当時は橋がなく、ボートで渡ったそうです。湖から上がり建物へアプローチすると、まず中庭に出ます。

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この中庭、写真で見て想像していたよりも、実際訪れてみると、柔らかい雰囲気で、実に良い感じなのです。

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これはなぜなのだろう、私は中庭を歩き回りながら考えました。そして思い当たったのは、これはまさにインテリアの手法の外部への応用なのではないかということです。例えば、心地よい部屋のインテリアを設えようとした時、床にはコーナーごとにラグを敷き、壁には絵やテキスタイルを飾り、床面、壁面が単調にならないよう分節していきますよね。この中庭は床・壁合わせて50種類ほどの様々な色・形・パターンのレンガの組み合わせで構成されています。これらがまるで、室内でラグや絵やテキスタイルを配するのと同様の効果を挙げているように思えるのです。

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ある程度の大きさをもつこの中庭の空間は、床・壁ともそれらのパッチワークにより細分化され、なんとも柔らかな雰囲気を出しているというわけです。加えて壁面を覆うツタ。これも柔らかい雰囲気を出すのに効いています。

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そしてもうひとつの要素として、中庭から湖を振り返った風景があります。ピクチュアウィンドウのように切り取られた風景の中には、柔らかな緑の落葉樹と、その先には穏やかな湖水を湛えるパイヤンネ湖があります。この風景が、これまた実物を見ると写真の印象よりもずっと柔らかい雰囲気なのです。

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冬の長いフィンランド。待ちに待った夏を楽しむためのサマーハウスのメインの空間として、この中庭は実に素晴らしいと感じました。

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内部空間はL字形平面となっています。リビングからは中庭越しにパイヤンネ湖への眺望を楽しむことができます。

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ダイニングは窓から遠く、比較的守られた雰囲気です。もう少し光を入れても良かったのでは、と個人的には思いましたが、これは内部を囲い込むほど中庭の開放感がより一層引き立つというねらいなのではないか、と解釈しました。

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見学を終えて再びセイナッツァロの役場に戻り、今夜は中庭に面するゲストルームに宿泊です。

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ツタの覆う窓越しに緑の光が入り込む、素敵な部屋。近くのスーパーで食材を買い、備え付けのキッチンツールで調理して部屋のテーブルで食事をしました。窓の外を見ると、そこは閑静な中庭。窓の外にもまたもうひとつの部屋があるかのようで、この落ち着き感は、ちょっと体験したことのないような種類のものでした。

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ここで朝までぐっすりと良く眠れたのは言うまでもありません。

明日は西へ向かいます。



新井崇文
新井アトリエ一級建築士事務所


by takatakataka03 | 2015-06-28 17:56 | 北欧視察 2015


「光」「風」「緑」といった自然の恵みを活かした住まいを設計しております。ご連絡はこちらまで→info@arai-atelier.com


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